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子育てコーチングと共有型しつけ

子育てコーチングに非常によく似た家庭での教育法に「共有型しつけ」があります。
共有型しつけとは大学で育児や子どもの心の成長に関しての研究をされている内田信子先生が、提唱された保護者も子どもも楽しく仲良く過ごせるしつけの考え方です。共有型しつけは、3歳から5歳の幼児を研究対象としていますが、考え方そのものは小学生や中学生にも十分適用できるものです。実は、この共有型しつけは子育てコーチングそのものと言っても良いほど非常によく似た考え方ですので、両者を照らし合わせながら、理想的な家庭での教育方法について紹介したいと思います。

 

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1、学力がアップし、自ら伸びる子どもになる共有型しつけとは?また、その反対の強制型しつけとは?

学力がアップし、自発的・積極的にさまざまなことにチャレンジできる子どもが育つ共有型しつけとはどのような教育方法なのでしょうか?まずは、お子様との接し方の特徴について、強制型しつけと対比しながら解説いたします。  

1-1 共有型しつけとは

共有型しつけとは、発達心理学・認知心理学などを専門に大学で研究をされている内田伸子先生が提起された、子どもの学力を伸ばし、自発性を育む家庭での教育方法です。

共有型しつけを具体的に説明すると、親子の触れ合いを大切にして、お子様が楽しめること、好きなことを親子で共有するスタイルのしつけのことをいいます。共有する=承認の姿勢(子どもの心情に寄り添う)という点から、スタンスとしても子育てコーチングの考え方に近そうだ、と感じていただけるかと思います。この共有型しつけは、今、教育界で子どもの自主性を伸ばし、学力を伸ばせる、としてとても注目されている考え方です。

(参考)

    • 発達心理学
    • ・・・人間が生まれてから赤ちゃん、幼児、子ども、大人、壮年期と発達の過程における心理を研究した学問
 
    • 認知心理学
    • ・・・人間の知覚や理解、記憶や学習について深く掘り下げる心理学で、インプットした情報を人がどのような過程で処理するかを掘り下げる学問
 

1-2 共有するってどういうこと?3つのHを大切に!

親子で共有するとはどういうことでしょうか?
「親子が楽しい思いを共有して、家族の絆を大切にする共感的な関わり」とも言われますが、まだ、具体的にどのようなことを指すのかイメージしづらいのではないかと思います。

共有型しつけを実践されているご家庭で、保護者の方がお子様に接するときによく用いられているのが、3つのH(ほめる、はげます、ひろげる)です。
つまり、共有型しつけでは保護者の方はお子様の意見や考えを尊重して見守る姿勢で、子ども自身が考える余地を与える言葉がけやサポートを行います。その際に、子どもの反応を敏感に察知しながら接し、子どもの反応次第では接し方やかける言葉を柔軟に調整します。お子様自身の言葉を尊重するため、決してお子様が話す以上に難しい語彙・言葉を無理して使うことはしません。

Hの三つ目の「ひろげる」について、少し補足説明をします。ひろげるとは、お子様の視野を広げるという意味です。お子様が行き詰ってしまった時や、援助を必要としたときに、共感的な援助や必要最低限のサポートを行うのが効果的です。注意したいのが、サポートする際に、保護者様自身の考えを明確に述べてお子様の自主性を阻害してしまうことです。そのような接し方は逆にお子様の視野を狭める結果になります。例えばアドバイスをする際にも、複数の選択肢を提案するなど、お子様自身の考える余地を与えることを意識して下さい。

このように、お子様との接し方を見ても、共有型しつけと子育てコーチングは非常によく似ています。

 

1-3 強制型しつけとは

では、共有型しつけの反対とされている強制型しつけとはどのようなしつけのことを指すのでしょうか?
強制型しつけ最大の特徴は、言葉は少し悪くなりますが、親中心の考え方によって子どもに強制的な指示を与え、いわば力によって押さえつけようとする教育方法を指します。

強制型しつけでよく用いられる典型的な声がけが勝ち負けと禁止・命令です。勝ち負けの声がけは一種のおどしの声がけとも言えますが、「言うことを聞かなかったら絶対に失敗するよ」といった風に、親の言うとおりにすれば勝ち、しなければ負け、という声がけのことを指します。命令や禁止についても同様ですが、子どもが自分自身で考える余地がほとんどなく、親の期待通りに行動することを強制することになります。
子どもは、一見素直に言うことを聞きますが、内心で不満を抱えてしまいます。また、親の顔色を窺ったり、自分のやりたいことや感じたことを我慢しがちになってしまったりするという側面があります。

 

2、共有型しつけで学力がアップする理由⁉

共有型しつけを実践している家庭で育った子どもは、強制型しつけで育った家庭の子どもに比べて学力が高いという調査結果が内田先生によって発表されています。かつて、経済格差によって学力の差が生じるという調査結果が発表されましたが、経済的に恵まれていない家庭でも共有型しつけが実践された家庭では子どもの学力は高い傾向にあることが確認されました。
経済的に恵まれていないことにより両親が共働きであったり、精神的な余裕がなかったりすることからどうしても強制型しつけにならざるを得ず、結果として経済格差によって学力の差が生じてしまっているのであって、経済的な事情と子どもの学力には直接の影響はない、というものです。

共有型しつけで、子どもの学力がアップする理由について解説します。

 

2-1 子どもが好きなものをとことんさせてあげる

共有型しつけの特徴の一つが、楽しいことを家族で共有することですので、お子様が興味を示しているものに対しては保護者の方も一緒にとことん楽しみます。例えば、ブロック遊びが好き、昆虫の観察が好き、料理をするのが好き、などお子様が強く興味を示すものが何かしらあるかと思います。共有型しつけの保護者は、子どもが好きなことを楽しめるように積極的にサポートをします。
ここでのポイントは、保護者の方もお子様の気持ちに共感して同じ目線で楽しむことです。保護者の方が一緒に楽しむことによって、お子様は満足感が得られると同時に、好奇心が強く刺激されます。また、両親をもっと喜ばせるために創意工夫をしたり、できなかったことにチャレンジしようとしたりする気持ちが自然に生まれます。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、好きなことをとことん楽しむことによって、スキルや可能性を伸ばしていくことができます。

2-2 本がたくさんあり、自然に読書をする習慣を身につける

共感型しつけを実践されている家庭の特徴として、家庭に絵本や本がたくさんあり、保護者の方自身も本をよく読むという傾向がみられるとのことです。また、幼少期には絵本の読み聞かせを習慣的に多く行っている、との傾向もみられるとのことです。

幼少のころから、活字、物語に多く触れることによって、語彙力だけではなく主体性、コミュニケーション能力、思考力、問題解決能力、親子の信頼関係が養われます。

また、絵本の読み聞かせをしたり、お子様の国語の音読を聞いたりする際にも共感型しつけを実践するコツがあります。
例えば、結末がすごく悲しいお話の場合、保護者の方はお子様の表情やしぐさを観察してどのように感じているか観察をします(ひどく悲しんでいないか心配します)。
悲しい結末に関して意見を交わす場合には、答えを与えるのではなくお子様がどのように感じているかを質問し、そして共感する姿勢をとります。

家庭の中で本をたくさん用意したり、読み聞かせをしたりする部分は子育てコーチングでは具体的な姿勢として述べられていませんが、本を読む際のお子様との接し方については、子育てコーチングと共有型しつけが非常に近いことがわかると思います。

 

2-3 子どもの自主性を重んじた接し方をする

共有型しつけでは、子どもの自主性を尊重します。
強制的しつけでみられる命令や禁止をできるだけ避け、子どもに考える姿勢を与えながら見守る姿勢を取ります。そして、子どもから求められたときに、精神的に寄り添ったサポートを行います。具体的な方法としては、子どもを注意したりいさめたりする際には、理由や根拠を明確に説明するように心がけます。また、基本的な姿勢としてほめたり、励ましたり、視野を広げたりする言葉がけを重視します。

これらの姿勢によって、子どもはのびのびと自由な感性で自主的に物事を考える力を身に着けられます。自立心が高まると同時に、「親はいつでも自分の味方」と感じながら成長できるので、自己肯定感が高められます。自己肯定感の高さは、学力の高さと相関関係があるといわれています。

 

2-4 ポジティブな気持ちで取り組むことによる学力の向上

課題に取り組む際にポジティブな気持ちで取り組んだ場合の方が、子どもの成果が上がりやすいことを実証するデータがあります。
その一つ目は、社会心理学における「気分一致効果」です。
気分一致効果を簡単に説明すると、良い気分の時には良い記憶が想起されやすく、悪い気分の時には悪い記憶が想起されやすいことを指します。

したがって、お子様が自主的に学習や研究を行っているとき、保護者から褒められたり励まされたりしながら課題に取り組んでいるとき、話を聞いてもらっていると実感しながら悩み事について相談をしているときなどは、感情がポジティブな状態になっています。反対に、お子様が宿題を強制的にやらされていると感じていたり、親の顔色をうかがいながら物事に取り組んだりしているときには、不安が強い状態となります。

学習は、ポジティブな結果、楽しい将来を目標としながら行うものですし、悩み事についても将来が楽しくなるように、今の悩み事がなくなるように行うものなので、楽しい感情で取り組んだ方がその効果が高まります。

二つ目は、ヤッキーズ・ドットソンの法則です。ヤッキーズ・ドットソンの法則とは、ラット(ねずみ)を使った心理学の実験です。ラットに対して正しい反応をした際には食べ物を与え、間違った反応をした際には電気ショックを与える、という実験をし、その成果の違いを調べたものです。
結果は、簡単な課題の際には電気ショックを強くするほど成績が良くなるが、困難な課題の場合には電気ショックを強めれば強めるほど成績が下がるというものになりました。

かつてはスパルタ式教育が良しとされた時代もありましたが、近年は人間の場合でも厳しすぎる罰は、簡単な課題にしかあまり効果がない、といわれています。そして、長期的に見た場合に、共有型しつけでポジティブな感情を育みながら育った子どもの方が学力が向上しやすい、というデータになって表れています。

 

3、今まで強制型しつけをしてきたけど大丈夫⁉

共有型しつけと強制型しつけを比較しながら、強制型しつけのマイナス面を紹介していますが、程度や頻度の差こそあれ、どのご家庭でも強制型しつけとなってしまう場面は少なからずあるかと思います。そして、すでに幼児の時期を過ぎて、子どもが小学生、中学生になってしまっているのでもはや手遅れだ、と思われる親御様もいらっしゃることでしょう。

しかし、共有型しつけの提起者である内田先生自身、著書の中で「子育てに『もう遅い』はありません」と述べられています。共有型しつけとは、まさに子育てコーチングの考え方そのものですので、両者の良い部分を取り入れながら家庭でのお子様との接し方を改めて考える機会にしていただけたらと思います。具体的な方法についていくつか紹介します。

 

3-1 口出しをできるだけ我慢する

子育てコーチング、共用型しつけに共通するお子様との接し方は、お子様の自主性を尊重し、見守る姿勢を取ることです。強制型しつけをしてしまいがちな保護者の方も、お子様の成長を願っているという点では共有型しつけをされている保護者の方と同じ気持ち、愛情を持たれていることかと覆いますが、心配や後々のスケジュールのことを考えて、ついお子様が失敗しないように先回りをした声がけをしてしまったり、急かすように接してしまったりしてしまうことと思います。

その代わりに心がけていただきたい点が2点あります。
一点目は、お子様が「教えてほしい」、「できない」といってきたときには、お子様の助けに応じてヒントやアドバイスをきちんと伝えてください。必要な時にアドバイスを与えないのは、一転して放任の姿勢になってしまいます。
二点目は、保護者の方自身が、常にお子様の見本となるべき行動を心がけてください。親子の信頼関係が高まってくると、自然にお子様は親の行動を真似します。

 

3-2 お子様の話に共感し、一緒に楽しむ

お子様の話を聴くときには、それが単なる日常会話の場合でも興味を持って共感しながら聴くようにしましょう。
子育てコーチングでいうところの「傾聴」の部分にあたりますが、お子様の声に心と耳を傾け、共感しているという姿勢を示すことで、お子様からの信頼感や自己肯定感につながります。

おそらく、つい強制型しつけになってしまいがちな保護者の方は、この「話を真剣に聴いて共感する」、という部分が最も難しく感じられる方が多いのではないでしょうか?つい、仕事の疲れであったり、家事でやらなければならないことなどを考えてお子様の雑談は後回しにしてしまいがちだったり、話を聞いていても聞き流してしまったりしがちです。

共有型しつけを行うためには、少しずつ意識を高めていくと同時に、お子様と一緒に遊ぶ機会を設けるというのも一つの手段です。低学年のお子様であれば、一緒にブロック遊びをしたり、公園で遊んだりするのも良いでしょうし、お子様の学年によってはボードゲームや将棋などのゲームをしたり一緒に料理をしたり、時にはテレビゲームをするのも良いでしょう。
ただし、お子様が興味を示さないものややりたがらないものを無理やり一緒にやってもそれほど効果はありません。
重要なポイントは、お子様に共感し家族としての絆を深める時間を大切にする姿勢です。

 
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