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子育てコーチングが良い結果を生む事例~オランダの家庭教育での家族の向き合い方

子育てコーチングが、日本で広まったのはかなり最近のことなので、効果が表れるかどうか半信半疑の方もいらっしゃるかもしれません。子育てコーチングに関する本を読んだり、インターネットのサイトを見たりすると、
    • 「子どもの成績が上がった」
    • 「進んで勉強するようになった」
    • 「子育てが楽になった」
    • などの声がよく掲載されています。それでも、「それらは一部の成功例なんじゃないの?」という方もいらっしゃいます。
 
    そこで、今回は「子どもが世界で一番幸せな国」オランダの教育環境、家庭環境について紹介しながら、子育てコーチングの効果について紹介していきたいと思います。オランダでは、コーチング学習が非常に盛んで、教育や子育てにもコーチングの手法が取り入れられています。国全体でコーチング指導に取り組んでいるのです。もちろん、文化や環境などは日本と大きく異なる部分もありますのでそのまま真似するには制約がありますが、育児コーチングを学ぶ上でもとても参考になるのではないかと思います。
 



1、コーチング大国オランダ

多くの方にとって、オランダはあまりなじみのない国ではないかと思います。一般的なイメージとしては、チューリップ・風車でしょうか?最近では同性婚が認められている国としても話題にあることがありますね。
オランダの教育や働き方などの背景を知ることで、どのようにコーチング教育が実践されているのかをイメージしやすくなるかと思います。

 

1-1 オランダの基本情報と子どもの幸福度

オランダはヨーロッパにある国で、面積は日本の九州くらいの大きさしかありません。非常に小さい国ですね。人口も約1,700万人ということなので、日本の7分の1程度の国です。
そんな小国であるオランダが2013年にユニセフが公表した「先進国における子どもの幸福度」調査で1位になりました。先進国31か国を対象にしたこのアンケートでは、「物質的豊かさ」「健康と安全」「教育」「日常生活上のリスク」「住居と環境」という5つの指標で子どもの幸福度が分析されました。こうした指標からも、今オランダの教育は、世界的に注目を集めています。

 

1-2 オランダの小学校教育はコーチングを重視

オランダはコーチング指導が非常に活発に行われている国です。小学校の様子を日本と比較すると、非常にわかりやすいかと思います。

オランダの小学校は、学校によってカリキュラムや指導方針が異なるため、決まったスタイルはありませんが、ほとんどの学校に共通しているのは子どもたちがとても自由であり、何も強制されないということです。また、先生がティーチングではなくコーチングによって児童たちを指導していることです。

オランダの小学校には、日本では当たり前の始業や就業のチャイムがありません。また、宿題も全くありません。子どもたちは、規律に縛られずに自分自身でやるべきことを考え、実行します。ある小学校の高学年の授業では、毎週のカリキュラム(時間割)さえ、児童たちが自ら考えます。カリキュラムを作成する際、先生は、子どもたちから求められたときだけアドバイスを与えます。

授業においても、いわゆるティーチング(一斉授業)が行われることは少なく、個別学習スタイルがほとんどです。先生は、問題に苦労している生徒がいたら、隣に腰かけて助言を与えます。学習の内容についても、答えがいくつもあるような論理的な問題であったり、時には生徒たちがグループになって真剣に演劇に取り組んだり、と一風変わったものが多くみられます。生徒たちは、自発的に目的を考えながら、それらの課題に意欲的に取り組んでいます。

宿題もなく、授業も子どもたちに任せるならオランダの子どもたちは学力が低いのではないかと思われるかもしれません。しかしデータを参照すると、教育水準は日本よりもむしろ優れています。以下をご覧ください。
世界教育水準ランキング(オランダ:7位、日本4位)
労働生産性ランキング(オランダ6位、日本:20位)

労働生産性とは、1時間あたりに1人の労働者が平均でどれだけの金額の価値のある仕事をするかという指標です。オランダは、日本のおよそ1.5倍の生産性があるというデータとなっています。

 

1-3 教師や保護者の子どもとの向き合い方

子どもの自主性にゆだねる形で、子どもが自発的に規律的な行動をし、学力が向上するなんてウソのようだと思われるのではないでしょうか?

オランダの学校の先生や保護者の方々の意見や考えをいくつか耳にしていると、共通して言われていることがありました。
それは、先生と生徒の関係、親子関係のどちらにおいても、大人対子どもではなく人対人で対等な関係として接しているということです。子どもに対して「成績を伸ばして優秀になってほしい」と期待するのではなく、「子どもは必ず自分自身がやりたいことを自分で見つけて叶えるはずだ」と信じるのだそうです。期待することと信じることは似ているように見えます。しかし、期待(あるいは期待の裏返しの心配)するあまりお子様に宿題や家庭学習をするように、つい口うるさくなることもあるでしょう。オランダでは、子どもの自主性を信じて、そっと見守る姿勢を取られている方が多いようです。

 

1-4 オランダで個別教育が始まった時期と背景

オランダの小学校が現在のスタイルになったのは1981年7月のことです。国内の若者を中心とした画一的な教育法への批判を受けて、個別教育の重視をうたう新たな初等教育法が制定されました。つまり、オランダではコーチングスタイルの個別指導学習が40年近くも実施されている、ということです。

画一的な教育法に対する批判はオランダだけではなくヨーロッパ各国で起こっていたようですが、オランダでは特にその運動が盛んだったようです。同性婚やドラッグ、環境問題などさまざまな社会問題も巻き込んで、教育体制を変えるほどの運動が起こった、とのことです。

 

1-5 オランダ教育制度の厳しい一面

宿題がない、学習を強要しない、という部分をクローズアップして、オランダの小学校は子どもにとって楽なものであると誤解されることもあるのですが、厳しい面もあります。小学校の最終学年の際に受ける実力テストで将来のコースがある程度定まるからです。

最も成績が優秀なグループ(上位20%)は大学教育コース、その次に優秀なグループ(20%)は高等教育コース、そして残りの生徒たちは職業訓練をメインとしたコースへ進路が分かれます。先生や親が「勉強しなさい」ということを強く言わない代わりに、小学生の段階で自分自身の将来に対して責任を持たなければならない、ということです。一般的には、このテストを大きな目標として、学校や家庭で自発的な学習が行われ、コーチングによる指導が行われています。

 

2、オランダ流家庭での時間の過ごし方

オランダでは、家族で過ごす時間を非常に大切にしています。
オランダ流の家庭での時間の過ごし方について解説します。

 

2-1 家族全員で過ごす時間を重視し、ワークシェアリングが盛ん

オランダでは、家族全員で一緒に過ごす時間をとても重要視しています。
そのための社会制度も整えられていて、例えば週3勤務、週4勤務のワークシェアリングが盛んな国でもあります。日本でも主婦の方がパートタイムやアルバイトで働かれているケースは珍しくありません。しかし、オランダでは学校の先生や警察官などの職業や一般企業の管理職ポストまでワークシェアリングされています。小学校では、日本のように1クラス=1担任ではなく、曜日によって先生が異なるのが当たり前です。また、ワークシェアリングを活用する男性が多いのも特徴の一つです(男性の27%が週の平均労働時間36時間以下)。

ワークシェアリングが盛んなことは、収入が減ってしまう、増えにくい、というデメリットはありますが、それ以上に家族で過ごす時間が重視されているのです。

 

2-2 食事の時間を大切にする

オランダでは、家族全員での食事の時間を非常に大切にしています。食事の時間が重要なコミュニケーションの時間であり、子どもの話に心と耳を傾ける時間だからです。食事中には全くテレビをつけないそうです。

『一人でいただく豪華な食事よりも、家庭でいただく質素な食事の方が贅沢な食卓である』
という言葉がオランダにはあります。

そして、多くの家庭でこうしたコミュニケーションを取る時間が重視されていることが、オランダの子どもの幸福度につながっているものと思われます。

日本でも、数年前から「食育」という言葉が聞かれるようになりました。実は、内閣府がまとめた「食育の定義」にも以下のように記されています。
「家族が食卓を囲んで共にコミュニケーションを計るのは食育の『原点』です。」

また、一人でご飯を食べる子どもの多くが疲れやすく、イライラしやすい、というデータも報告もあります。

日本では、仕事の都合から毎日全員で食卓を囲むのは難しいかもしれませんが、週に1回、2回など目標を定めて実践されてみてはいかがでしょうか。子育てコーチングの対話の機会がなかなか設定できない、話を聞こうとしても子どもがなかなか口を開いてくれない、といった悩みを持たれているお母様は、食事の時間をうまく活用されてみてはいかがでしょうか。

 

2-3 スマホについて

保護者の方のスマホの利用についても、子育てコーチングの観点からはあまり望ましくないものでしょう。極端な例としては「スマホネグレクト(育児放棄)」という言葉があります。お子様の前でスマホをしてしまうのは傾聴の姿勢が取れていない状態を指します。スマホの問題は、「ながら」利用ができてしまうことです。お子様の「話を聞いてほしい」というメッセージを見逃してしまう可能性もありますし、お子様自身が無視されてしまったと傷ついてしまう可能性もあります。
大人の立場で考えると、メールやLINEなど急を要するケースもあるので、スマホを完全に手放すのは現実的ではないかもしれません。コツとしては、緊急性が高いものについては、お子様のいないところで行うのようにすることです。

ちなみに、統計データなどがあるわけではありませんが、オランダの公園などに行くと母子が並んで対話している風景がよく見られます。日本では、電車内や公園でもスマホを触る人が多いので、違いがとても明確ですね。

 

2-4 両親が自身の人生を楽しんでいる

オランダのお母様たちは、理想的な子育てをされているように見えます。ですので、子どもを常に最優先されているのでは?と思われるかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。オランダのお父様、お母様は、ご自身の幸せも追求されています。子どもが幸せであるためには、両親も幸せであるべきという考え方があるからです。

例えば、月に一度は趣味の映画を見たり、習い事に通ったり、学生時代の友だちと食事に出かけたり。保護者の方が、子どもを家に残して自分の趣味や好きなことに時間を使う際に、少し後ろめたさがあるのではないでしょうか?特にお母様は、後ろめたさが強いと思います。

オランダでは、「母親が幸せでいることが家族の幸せのためには重要」、「幸せな母親の顔を見て、子どもも幸せになる」という考え方もあり、自身の幸せもしっかりと追求されているようです。

 

3、オランダのコーチング教育の成果~英語力の高さと性格的な特徴

オランダの学校や家庭でのコーチング教育の成果として、英語力の高さと性格的な特徴を紹介したいと思います。  

3-1 英語力がすごい!94%がバイリンガル、77%がトライリンガル

オランダは、毎年実施される世界英語力ランキング(EF EPI英語能力指数)でトップに立っています(2018年度)。これは、英語を母国語としない80か国の18歳以上の受験者を対象に行われる試験です。ちなみに、日本は37位です。

オランダが上位にランクインするのは、元々オランダ語と英語が似ている言語であるというのも一因ですが、それ以上に教育環境が大きいのではないかと思います(オランダ語に近い言語を母国語とするドイツ、ルクセンブルクなどの国はトップ5入りしたことがありません)。
ポイントは3点あります。

一点目は、オランダの学校では、英語を習うというスタイルよりむしろ、英語で何を伝えるかを学習することに重きが置かれています。学問として英語を学ぶのではなく、表現するための道具として学習することにより、実践的な表現力を身に着けられます。また、土台となるコミュニケーション能力について、学校や家庭で日々対話を取っていることも、語学力の向上につながっていると思われます。
二点目は、オランダ人は「失敗を恐れない」国民性があることです。間違えたら恥ずかしいと思って声が小さくなってしまったり、言葉を飲み込んでしまったりすることがありますが、オランダの方は一般的にトライアンドエラーをすることをよしとする方が多いそうです。こちらも、背景には、小さなころから話に耳を傾けてもらい、自己肯定感の高い子どもが多いことがあるのではないでしょうか。 三点目は、オランダは小国なので学校卒業後にイギリスやアメリカなど海外に移住して働く方が多いということです。夢は、学習の大きなモチベーションになりますが、実際に働く際に英語力が求められる可能性が高いことから、彼らは英語を自発的に一生懸命習得しようとします。

 
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